薩摩半島から約30kmの沖合に浮かぶ3つの島からなる甑島列島。2020年には9年の歳月を経て完成した甑大橋が開通、3島を陸路で移動できるようになりました。島津の殿様がその美しさを称えた長目の浜をはじめ、至るところに点在するビュースポットを巡る甑島縦断ドライブへ出かけましょう。
Summery
1日目午前:薩摩半島から高速船で甑島へ
川内港から高速船甑島でいざ!出発
甑島へと渡る高速船のターミナルへは、JR川内駅から運行しているシャトルバスで約30分。到着すると、ターミナルとは思えない可愛らしい外観にちょっと驚きますが、「九州新幹線」や「クルーズトレインななつ星in九州」などのデザインを手がけた水戸岡鋭治(みとおか えいじ)氏によるものと聞けば納得です。水戸岡氏はターミナルだけでなく高速船甑島のデザインも手がけられていて、船の前方、中央、後方…とそれぞれ客室内の雰囲気を変えてあるのも特徴です。好みの場所にゆったり腰を下ろし、約50分の船旅を満喫しましょう。
<上甑島の里港から次のスポット[中甑港]まで>
車で約15分
1日目午前:中甑港からクルージング
「観光船かのこ」で断崖クルーズに出発
上甑島の里港に着いたら手配していたレンタカーをピックアップし、中甑港へ。ここから「観光船かのこ」に乗船し断崖クルーズへと向かいます。高さ約200m、南北に約16kmも連なる「鹿島断崖」や、鶴が羽を広げているようだと名付けられた「鶴穴」、奇岩・大岩がダイナミックに連なる「池屋崎」など、大自然が造り上げたロックアートを堪能しましょう。また鹿島周辺はウミネコ繁殖の南限地でもあり、4~6月にはクルージングに加えて餌付け体験もできます。
※「観光船かのこ」についての詳細は下記でご確認ください。
観光船かのこ運航情報(Twitter)
<次のスポット[ランチできる飲食店]まで>
車で約3分
1日目午後:昼食は甑島の海の幸を堪能
ちょっぴり早めの昼食はクロマグロの寿司!
断崖クルージングを楽しんだ後は、甑島の海の幸をいただきます。クロマグロの養殖といえば奄美大島が有名ですが、数年前から甑島でも行われています。脂ののりも程よく、口の中でとろける食感が特徴で、一度食べたら病みつきになること請け合いです。甑島産のクロマグロは主に首都圏に出荷されますが、島内でも味わえる食事処が1軒だけあり、1本丸ごと仕入れるクロマグロを寿司や丼で味わえます。
<次のスポット[下甑島]まで>
車で約10~20分
1日目午後:「鹿の子大橋、甑大明神橋、甑大橋」を渡り絶景スポットへ
3つの橋を渡って下甑島へ
いよいよ3つの橋を渡り、下甑島へ。橋のたもとに島の名前の由来になった甑形(せいろがた)の大きな岩が鎮座する「甑大明神橋(こしきだいみょうじんばし)」、そして海峡の波をイメージしたアーチ型の「鹿の子大橋」を渡り、車で約10分。黒浜トンネルを抜けると目の前に飛び込んでくるのはコバルトブルーの海。これが2020年に完成した「甑大橋」です。素晴らしいオーシャンビューを堪能しながら、いよいよ下甑島へ上陸です。
1日目午後:可憐な花越しに眺望を堪能「鳥ノ巣山展望所」へ
甑大橋を渡り終え、しばらくすると「鳥ノ巣山展望所」を示す案内板が見えてきます。狭い坂道を登っていくと到着です。眼下に今渡ってきた甑大橋、対岸に中甑島を見渡せるビュースポットですが、6〜7月にはニシノハマカンゾウ、7月中旬~8月中旬にはカノコユリが一面に咲く花の名所としても知られています。絶景をたっぷり堪能したら、本日の宿泊先・長浜へと向かいます。起伏が激しい道が続くので気をつけて運転しましょう。
■スポット情報
鳥ノ巣山展望所(とりのすやまてんぼうしょ)
住所:鹿児島県薩摩川内市鹿島町藺牟田
アクセス:里港から車で約40分
滞在所要時間:30分目安
<鳥ノ巣山展望所から次のスポット[長浜]まで>
車で約30分
2日目午前:瀬尾川の上流の滝スポット
マイナスイオンたっぷり、3段に分かれた「瀬尾観音三滝」
宿泊先で朝食を済ませたら、左手に海を見ながら「瀬尾観音三滝」へと向かう県道349号を南下。緑深い瀬尾川の上流に位置する、落差約55m、三段になった岩肌を白糸のように流れ落ちる滝で、周辺はキャンプ場併設の公園として整備されています。その昔、滝の水は「諸人万人の薬水」といわれ、遠方から汲みにくる人も多かったとか。現在はマイナスイオンたっぷりの癒しスポットとして人気があります。
■スポット情報
瀬尾観音三滝(せびかんのんみたき)
住所:鹿児島県薩摩川内市下甑町青瀬
アクセス:長浜港から車で約10分
滞在所要時間:20分目安
<次のスポット[武家屋敷通り]まで>
車で約10分
2日目午前:甑島の歴史を知る散策へ
玉石積みの石垣が美しい「武家屋敷通り」を散策
江戸時代、薩摩藩では領内を外城という区画に分け、各地に武士を住まわせる「外城制度」を取っていました。鹿児島県内には今も武家屋敷群の名残を残した場所がいくつもありますが、手打集落の「武家屋敷通り」もその一つです。玉石の石垣が整然と並ぶ静かな佇まいの通りには、先人たちの島での暮らしぶりを知ることができる「下甑郷土館」もあります。また少し足を伸ばせば、白砂の浜が1.5km続く、甑島を代表するビーチ・手打海岸が広がっています。
■スポット情報
手打麓武家屋敷跡(てうちふもとぶけやしきあと)
住所:鹿児島県薩摩川内市下甑町手打
アクセス:長浜港から車で約15分
滞在所要時間:1時間目安
<次のスポット[長浜港周辺]まで>
車で約15分
2日目午後:甑島特産の海鮮ランチ
甑島特産のタカエビを満喫
武家屋敷通りをのんびり散策した後は、県道349号を長浜港へ向けて出発します。甑島の特産品・タカエビ(薩摩甘エビ)を味わえる飲食店を目指します。タカエビは痛みやすいので、常時提供している店舗は少ないのですが、長浜港付近にフライやグリーンカレーで味わわせてくれる店があります。タカエビの甘みとプリッとした食感をぜひ堪能してください。食事が済んだら、再び県道349号を北上、上甑島へと戻ります。
<次のスポット[長目の浜]まで>
車で約1時間
2日目午後:3島縦断絶景スポットドライブ
殿様も絶賛した絶景「長目の浜」
3島縦断ドライブも終盤、最後の目的地「長目の浜」へ向かいます。海水と淡水の二層からなる「なまこ池」、約30億年前に出現した微生物・クロマチウムが生息する「貝池」、そして「鍬崎池(くわざきいけ)」「須口池(すぐちいけ)」の4つの池と海とを隔てる、幅50m、長さ4kmの礫砂です。高台から見える景観が美しく、薩摩藩主・島津光久が「天下の絶景」と称したほどです。展望所は3ヵ所設けてあり、ビューポイントの田之尻展望所、長目の浜展望所ともに浜へ下る遊歩道があります。時間に余裕があれば行ってみましょう。
■スポット情報
長目の浜(ながめのはま)
住所:鹿児島県薩摩川内市上甑島瀬上
アクセス:里港から車で約30分
滞在所要時間:30分目安
<帰路へ>
川内港まで船で約50分