種子島は南北約60km、東西5~12kmと、屋久島とは対照的に細長く平坦な島なので、アップダウンの少ない快適ドライブを楽しめます。初日は西之表港を出発し、最北端の喜志鹿崎(きしがざき)灯台から最南端の門倉岬まで、景勝地を巡りながらのドライブです。翌日は日本の考古学上貴重な発見のあった遺跡や島最大のマングローブ林散策、奇岩ウォッチングなどを興味深いスポット満載です。町外不出のインギー地鶏グルメもお忘れなく。
Summery
1日目午前:鹿児島港から高速船で西之表港へ
鹿児島港から約1時間半! 意外と近い南の島
種子島に渡る高速船ターミナルは、桜島を眼前に望むウォーターフロントパーク近くにあります。ターミナル内からの眺望もよいので、出港前に記念撮影するのもおすすめです。チケットは当日に窓口で購入できますが、行楽シーズンには満席になることもありますので、事前の購入をおすすめします。サーフィン目的で来島する人は、ロングボートの船内持ち込みはできないので注意してください。
※詳細は下記でご確認ください。
<次のスポット[西之表港]まで>
高速船で約1時間55分
1日目午前:種子島の文化と歴史にふれるスポットへ
通称「鉄砲館」で島の歴史と火縄銃について学ぶ
高速船を降りたら次はレンタカーに乗り換えて島内ドライブへ。まずは島の文化や歴史を学べる2つの施設を見学します。鉄砲館の愛称でよばれる「種子島総合開発センター」では種子島の歴史全般と戦国時代から明治期までの銃の歴史を、「赤尾木城伝承館 月窓亭」では種子島の文化を学ぶことができます。月窓亭では、地元の郷土菓子と湯茶でのもてなしや民俗芸能の実演も行われます。
<次のスポット[天女ヶ倉]まで>
車で約20分
1日目午後:海沿いをドライブ
島の最北端と島内一の高台へ行ってみよう
種子島らしい海の景色を求めて北上します。「浦田海水浴場」は水浴場88選にも選ばれた白い砂浜と青い海が美しい海岸、その先にある種子島の最北端・「喜志鹿崎灯台」は、大海原に加え空気が澄んでいる日は薩摩半島の開聞岳まで見える抜群の眺望が魅力です。県道591号をしばらく南へ進むと「天女ヶ倉」です。標高237.9m、国土地理院の種子島地図に唯一名前が載っている山で、種子島で一番高い山ともいわれています。なお浦田海水浴場と天女ヶ倉は2020年に日本ヨガ連盟からヨガの聖地の称号を贈られた場所でもあります。
■スポット情報
浦田海水浴場(うらたかいすいよくじょう)
住所:鹿児島県西之表市国上浦田89-1
アクセス:西之表港から車で約20分
滞在所要時間:20分目安
喜志鹿崎灯台(きしがさきとうだい)
住所:鹿児島県西之表市国上喜志鹿崎
アクセス:西之表港から車で約25分
滞在所要時間:20分目安
天女ヶ倉(あまめがくら)
住所:鹿児島県西之表市安納
アクセス:西之表港から車で約15分
滞在所要時間:20分目安
<次のスポット[鉄浜海岸]まで>
車で約25分
1日目午後:一気に南下、最南端を目指す
サーファーの聖地は絶好のビュースポット
周辺一帯から砂鉄が採れることから名付けられた「鉄浜海岸」。種子島といえば鉄砲伝来の島として知られていますが、砂鉄を採れたことが国産火縄銃製造に成功した要因ともいわれています。その地も現在ではビッグウェーブを求めて全国からサーファーが訪れるサーフィンの聖地です。ここから車で町道を進むと、道を挟むように成長した大きなアコウの木が現れます。地元で「アコウのアーチ」とよばれている南国らしいワイルドなトンネルをくぐり、先へ進みましょう。
■スポット情報
鉄浜海岸(かねはまかいがん)
住所:鹿児島県西之表市安城140
アクセス:西之表港から車で約1時間15分
滞在所要時間:20分目安
<次のスポット[門倉岬]まで>
車で約20分
鉄砲伝来の地はビュースポット!
町道から島の中央を縦断する県道76号を経由し、中種子町に入ります。ここでランチ休憩を取ってドライブを再開しましょう。最南端の「門倉岬」を目指して国道58号をさらに南下します。途中で立ち寄ってほしいのが坂井神社境内にある大ソテツです。樹齢600年の古木で、樹高7m、樹長10m幹回り2mもあり日本最大級といわれています。
比較的アップダウンの少ない平坦な道をしばらく行くと最南端の岬「門倉岬」到着です。天文12年(1543)に岬の近くに異国船が漂着したことが、日本に鉄砲が伝わるきっかけとされています。園内には鉄砲伝来記功碑も建立されています。
■スポット情報
門倉岬(かどくらみさき)
住所:鹿児島県南種子町西之
アクセス:西之表港から車で約1時間10分
滞在所要時間:30分目安
<次のスポット[南種子町市街]まで>
車で約15分
1日目夜:夕食でインギー鶏を堪能
夕食は町外不出のインギー地鶏を食す!
種子島の最北端と最南端を制覇したあとは、ご当地グルメ・インギー地鶏料理をいただきます。明治27年(1894)にイギリスの貿易船が種子島に漂着した際、助けた島民たちがお礼として譲り受けた鶏がインギー鶏です。鹿児島県の天然記念物にも指定された貴重な鶏を、品種改良し食肉として町内の飲食店や宿泊施設でのみ提供しています。南種子町でしか味わえない逸品、ぜひとも味わっておきたいものです。幻のグルメを堪能したら本日の宿へ向かいましょう。
<スポット[広田遺跡]まで>
車で約15分
2日目午前:考古学上、貴重な広田遺跡へ
風光明媚な砂丘は古代人の集団墓地
2日目前半は太平洋側を、後半は東シナ海側を北上し西之表港を目指します。最初に立ち寄るのは、太平洋に面した砂丘に造られた集団埋葬墓の遺跡「広田遺跡」です。弥生時代後期から古墳時代前期のもので、美しい南海産の貝のアクセサリーを身につけ埋葬されていたのが特徴です。出土品には日本最古の文字といわれる「山」を刻んだ貝府もあるなど、考古学上貴重な発見だといわれています。発掘現場は「国史跡広田遺跡公園」として整備されており、出土品は隣接する「広田遺跡ミュージアム」で見ることができます。
■スポット情報
国史跡広田遺跡公園(くにしせきひろたいせきこうえん)
住所:鹿児島県熊毛郡南種子町平山2571
アクセス:西之表港から車で約1時間15分
滞在所要時間:50分目安
<次のスポット[種子島マングロープパーク]まで>
車で約7分
2日目午後:マングロープパーク散策
南国ムード満点!マングローブ林を散策
種子島はメヒルギ自生地の北限として知られています。南種子町の大浦川一帯にも群生していますが、ここに2015年に整備されたのが「種子島マングローブパーク」です。島最大のマングローブ林で、高さ1mほどのメヒルギの間には遊歩道が設けてあり、気軽に観賞することができます。ここから車で5分ほどの熊野海岸近くには「マングローブ・ビューなかたね」もあります。同じメヒルギなのに樹高が違うなど、環境によって異なる植生を観察しましょう。
■スポット情報
種子島マングローブパーク(たねがしままんぐろーぶぱーく)
住所:鹿児島県南種子町平山
アクセス:西之表港から車で約50分
滞在所要時間:30分目安
<次のスポット[千座の岩屋]まで>
車で約5分
2日目午後:自然が作ったアート作品を鑑賞
自然のパワーを感じるスポットへ
種子島の東海岸には、太平洋の荒波で浸食された奇岩が多く見られます。なかでも浜田海岸の南側にある「千座の岩屋」は干潮時のみ現れる神秘的な洞窟です。狭い入口の向こうには、名前の由来となった「千人が座れるほど」の空間が広がり、洞窟越しに見える海はSNS映えすると人気です。
次に訪れるのは、東シナ海側の奇岩「雄龍・雌龍の岩」です。嵐の夜に海に投げ出された夫婦の生まれ変わりという伝説のある岩で、国道58号沿いにあるので車窓からも見ることができます。
■スポット情報
千座の岩屋(ちくらのいわや)
住所:鹿児島県南種子町平山
アクセス:西之表港から車で約40分
滞在所要時間:20分目安
雄龍・雌龍の岩(おたつ・めたつのいわ)
住所:鹿児島県中種子町納官
アクセス:西之表港から車で約20分
滞在所要時間:15分目安
<次のスポット[西之表市街]まで>
車で約20分
2日目午後:おみやげは種子島の特産品・種子鋏
世界に一つだけ、手作りの種子鋏をおみやげに
西之表市内で遅めの昼食を済ませ、レンタカーを返却したら、出港までの時間、お目当ての種子鋏を探して港周辺を散策しましょう。全ての工程を1人の職人が手作業で行う貴重な技術は国の無形民俗文化財にも指定されている逸品です。現在島内で製造しているのは3カ所のみですが、鉄砲伝来と同時に明の鍛冶職人から伝えられたという技術が、脈々と引き継がれています。使うほどに切れ味が冴えるといわれる種子鋏、ぜひ自分用のおみやげとして購入したいものです。
<帰路へ>
鹿児島港まで高速船で約1時間35分