伝統製法を守って醸造される、島の特徴が詰まった地酒や焼酎には多くの銘柄があります。一方で、どれも流通量が少なく、島を訪れる以外ではなかなか味わえないのが現実です。そんな貴重な島酒は、地元の食べ物との相性が抜群。ぜひ現地を訪れて味わってみてください。
奥尻島の奥尻ワイン
この島でしか作れない、海を感じる奥尻ワイン
奥尻島では、潮風を浴びて育ったブドウを原料にワイン醸造が行われています。ブドウ品種はフランス系がシャルドネやピノ・グリ、ピノ・ノワール、メルロー、ドイツ系はツヴァイゲルトレーベやケルナー、ミュラーなど。畑に吹き渡る潮風のせいか、いずれもほんのりミネラル分を感じるのが特徴で、奥尻自慢の魚介料理とも相性抜群です。島のワインと海鮮の“奥尻マリアージュ”を堪能してみてはいかがでしょう。
佐渡島の地酒
佐渡米と豊かな水で仕込む日本酒
日本一酒蔵数の多い新潟県ですが、佐渡島内にも5つの酒蔵があります。島産の酒造好適米と、清らかな水で日本酒を製造しています。米どころとして知られ、トキが舞うような豊かな環境で栽培された米で仕込んだ酒は、淡麗辛口のすっきりとした味わいです。全国新酒鑑評会で受賞経験のある酒蔵もあり、ハイレベルなお酒が味わえます。
青ヶ島のあおちゅう
芋の香りが特徴的なあおちゅう
古くから主食とされていたサツマイモを使って家庭用に作られた焼酎が「あおちゅう」です。酒造会社としては1つですが約10名の杜氏が仕込んだお酒は、各家庭に伝わる製法と味を引き継ぎ、造り手によって味も異なります。サツマイモと麦麹を使ったものが主流で、独特の風味が特徴です。流通量が少なく島外ではなかなか購入が難しいので、訪れた際にはぜひ味わってみてください。
八丈島の島焼酎
薩摩焼酎をルーツにもつ八丈焼酎
江戸時代に流人として流されてきた薩摩の商人が、サツマイモでの焼酎の造り方を伝えたことから始まったといわれる八丈焼酎(島酒)。以前は多かったサツマイモ農家が昭和初期に栽培品目を変えたことで生産量が減少すると、麦と芋とのブレンド焼酎が主流になりました。すっきりとした飲み口とほのかな芋の香りが交わり、飲みやすくいろいろな料理と合わせやすいです。
壱岐島の壱岐焼酎
500年もの歴史を持つ、世界に認められた焼酎
壱岐は平坦な土地が多く長崎県で2番目に広い平野があり、古代から穀類作りが盛んに行われていました。16世紀頃、中国から伝わった蒸留方法をもとに、米麹と大麦を1:2の割合で仕込みもろみを熟成させた後、麦焼酎が誕生します。これが、日本で初めて造られた麦焼酎の原型になりました。島内には7つの蔵元があり、壱岐焼酎は麦の香りと米麹のやわらかな甘みが特徴で、平成7年(1995)にはWTOにより、地理的表示の産地指定に認定されています。
福江島の五島ワイン
五島の個性を詰め込んだ地産地消のワイン
五島列島は、温暖で雨や霧が多い気候が特徴。収穫時期は台風シーズンと重なってもおり、ブドウ作りには本来厳しい土地ですが、海からの潮風によりミネラル感のあるブドウができるという側面もあります。五島に自生するヤブツバキの花から採取した五島つばき酵母を使用したワインなど、地産地消の取り組みにも注目です。
屋久島の屋久島焼酎
良質な水で仕込む屋久島の焼酎
九州最高峰の宮之浦岳を擁する屋久島は「ひと月に35日雨が降る」といわれるほど降水量が多く、昭和40年(1965)に当時の環境庁の「名水百選」に選ばれた良質な水が豊富な島です。その良質な軟水とサツマイモを使って仕込む屋久島産の焼酎はまろやかで飲みやすいのが特徴です。島内には2つの焼酎蔵がありますが、銘柄によっては島内限定販売のものもあり、お土産品としても人気があります。
種子島の安納芋の芋焼酎
特産の安納芋で造る種子島の焼酎
ねっとりとした食感と甘さで焼き芋やスイーツの原料としても人気の高い安納芋は、種子島の安納地区で栽培されるサツマイモです。島内の焼酎蔵では地元の特産である安納芋を使った焼酎も造られています。安納芋由来の甘い香りと、柔らかでふくよかな飲み口に仕上がるのが特徴で、芋焼酎はちょっと苦手、という人でも飲みやすいと好評です。定番のお湯割りのほか、ソーダ割りやロックなど好みの飲み方で楽しめます。